あなたはなぜ、兄を殺したのですか――――とんでもないドキュメンタリーが誕生!

1960年代のインドネシアで秘密裏に行われ、およそ100万人もの命が奪われた大量虐殺。その“加害者”を追った「アクト・オブ・キリング」は、2014年に日本で公開され、衝撃の震撼を走らせた作品です。この作品を生みだしたジョシュア・オッペンハイマー監督が、前作とは対照的に、“被害者”に密着した「ルック・オブ・サイレンス」を誕生させました。昨年2015年に、劇場公開されたものの、つい見逃してしまい…、ようやく最近、観たので、その衝撃を徒然に…。「アクト・オブ・キリング」をも上回る、常識を超えた慟哭ドキュメンタリーです。

 

ルック・オブ・サイレンス
あなたはなぜ、兄を殺したのですか――――ルック・オブ・サイレンス

殺人という罪を犯しても、罪の意識なく、権力者として同じ村に暮らしている加害者たち。そして、口を閉ざす被害者家族。虐殺で兄を失った青年アディは、自ら加害者に会い、その罪を直接問いかけます。そして、沈黙を強いられた母子の想いが溢れ出します。

ルック・オブ・サイレンス

無謀な一歩から、映画が誕生。

インドネシアの歴史に詳しい日本人は、そんなには多くはないような気がしています。でも、大量惨殺は、わずか50年ほど前に起きていたこと。残虐に手を染めた加害者は、今も政権の中枢にいて、被害者家族は沈黙を守るしかない…。でも、虐殺で兄が殺害されたアディは、加害者と対峙してみたいと監督に告げるのです。それは、あまりにも危険で、勇敢でもあります…。

ただならぬ緊張感に、ゾクッ…ゾクゾク…。

兄を無残に殺されたアディは、加害者に罪を問います…。そして、待っていたのは、謝罪ではなく、いなおり。上司の命令に従っただけと正当化したり、逆ギレしたり、なかったことにして開き直ったり…。動揺を隠しきれない“加害者”と、アディの哀しそうな表情。この関係は、ただならぬ緊張感で包まれ、これが現実化と思うとゾッとします。

“加害者”も“被害者”も、普通の人…。

「環境が人を変える」という言葉をよく耳にしますが、まさに、こういうこと。“加害者”も、“被害者”も、どこにでもいる普通の人々。人は環境で、いかようにも変わってしまう生物だということを目の当たりにします。人という存在そのものへの洞察と実態が、恐怖でした…。世界中が震撼したわけです…。(第71回ヴェネツィア国際映画祭5部門受賞)

 

 

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アクト・オブ・キリング

過去のブログ記事:各賞、総ナメ!ホンモノの殺人者たちが演じる戦慄のドキュメンタリー映画「アクト・オブ・キリング」。

 

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(C) Final Cut for Real Aps, Anonymous, Piraya Film AS,and Making Movies Oy 2014

(C) Final Cut for Real Aps, Piraya Film AS and Novaya Zemlya LTD, 2012

 

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